『ブラックミラー』を観ています。

 
またもネットフリックスで観ています。
シーズン1を観終わりました。いやあ、すごいブラックですね。イギリスのブラックってえげつない。「国家」「1500万メリット」「人生の軌跡のすべて」それぞれ感想です。ネタバレあります。

 「国家」しょっぱなから首相は豚とファックしてテレビ中継しろという王妃を誘拐した犯人の要求から始まる、という無茶な話。いやいやしないでしょ、となる首相。このバカバカしい要求を、何と受けることになってしまうのもかわいそうな話だし、観ていてもあまりのバカバカしさに笑いが出てしまう。そして、国民が皆テレビに釘付けになる。その間に王妃は釈放され、そして犯人は自殺する、という犯人のシナリオがすごい。これ以上のオチがないのがまたすごい。後味が悪い、の一言につきる。この首相何か悪いことをしたわけでもないのにこんな仕打ちをされて。犯人というのは芸術家らしく、それが芸術的だ、という意見もある、というようなことがテレビで流れ、首相は奥さんと口もきいてもらえなくなるというラスト。あはは、と笑えるわけでもなく、苦虫を噛み潰したような気持ちになるしかないという。

 

 

「1500万メリット」キャストが豪華。『ゲット・アウト』のダニエル・カルーヤと『ダウントン・アビー』の三女シビル役ジェシカ・ブラウン・フィンドレイが出演。完全なるバーチャルな世界で、部屋には映像が壁一面に写り、何をするにもお金がかかる。映像(後からわかるが、これは働くひとたちがアバターとなってこの番組を観ている)は観ないと何故か減額されるという。中にはポルノなどのいかがわしいものも。皆エレベーターで勤務先となる自転車漕ぎの場所へ行く。これが出勤なのだろう。食べ物は人工的に作られたものだが、りんごなどもある。自動販売機から出てくる(しかも時々故障して出てこない)のがイギリス風で面白い。自転車漕ぎで生活費を稼ぐ中、ビングはアビという女の子に心惹かれるようになる。トイレで彼女の歌声を聴き、ホットショットというオーディション番組に出ないかと持ちかける。しかも1500万を彼女に出すという。オーディションで資格を得れば、この世界から飛び出せるという一攫千金番組。彼女は出場するも、歌手ではなく、ポルノ女優になることを勧められ、結局その道へ進んでしまう。彼ら自転車漕ぎはそういう映像を観ることが出来て、アビはすぐに皆に消費される存在になってしまう。絶望したビングは再び金を貯め、自分がその番組へ出ることに。ガラス片を手にして。そう、ビングは死ぬつもりでこの番組に出て、この世界がいかにクソであるかを訴えた。ところが、そのあまりの迫真ぶりに、ある番組プロデューサーが彼に番組をあたえることに。それで彼はこの世界から脱するという、何という皮肉……。結局かなりリッチな生活をしつつ、アバターのいる妙な世界からは抜け出せないビング。もちろん彼女も救えないけれど、スクリーンに映った自然は美しく、彼もそれなりに満足している様子。いや本当に奇妙な話。

 

「人生の軌跡のすべて」記憶が何度も再生出来る世界の話。主人公リアムは弁護士で就職のため面接をするところから始まる。この世界の説明的導入部で、どうやら記憶は誰でも見ることが出来、空港などを利用する際には記憶を再生してあやしくないことを証明したりも出来るらしい。妻フィオンの友人のパーティへ向かうと、ジョナスという男と仲良くしているのが気に入らないリアムは、妻と男が一緒にいる場面を何度も再生する。執拗に妻を追い詰めるも、お互い仲直りをすることに(ただし夜の行為を再現しているだけという奇妙なやり方で。朝から酒を飲みジョナスのところへ向かうリアム。ジョナスはパーティで会った記憶回路をもぎとられた女性とともにいて、そのことでもリアムは怒り、さらにジョナスに妻との記憶を消すように迫り、暴力を振るう。家に戻ったリアムは、ジョナスの記憶に18ヶ月前、ベッドにいた場面があったことを彼女に見せる(彼女の背景には寝室と同じ絵がかかっていて、それで浮気だとわかった。結局彼女は浮気していたことがわかり、自分の子どもが彼との子どもではないかと疑い、記憶を再生させる。その後どうなったのかはわからないが、家のさまざまな場所で妻とのたのしかった頃の記憶を再生させるリアム。そして、耳についた記憶装置を自ら外すのだった。何ともさびしい終わり方。こんな世界は嫌だ、と思わせる世界だった。リアムがまるで刑事コロンボのようにしつこくて嫌でしたね。

本当に3つともそれぞれ腑に落ちないことばかりで、ぞわっとします。イギリスのブラックユーモア、本当にユーモアと言っていいのかわからないくらいのものでしたが、不思議とまた観たいと思ってしまうんですよね。続きをのんびり観ていこうと思います。