『ヒトラーVSピカソ 奪われた名画のゆくえ』を観る

連休中ひとつ映画を観ました。

イタリアの ドキュメンタリー映画で、なぜ今ヒトラーなのかわかりませんが、とても興味深い内容でした。

ただ、とても込み入った内容なので、前知識が何もない状態だと内容が把握しにくいかも。わたしは一応美術の勉強をしているのと、多言語を勉強していたこともあり、字幕以外の情報が多々あったので何とかついていけましたが、途中混乱しそうになりました。というのも、字幕があまりよろしくない……。多言語で好きなように固有名詞を話すので致し方ないのですが、同じ名前も何度も出てきて、それがフランスと英米圏で呼び名が違ったり、実際違うひとだったりするので、何でここではローザンベールで(ローゼンベールと訳されていましたが)、こっちではローゼンバーグなんだろうとか、気になり始めると変なスパイラルに入りこんで内容が入ってこなくなる上、内容に関わることなので、わからないと困るという状態。仕方がないから原語を追い、字幕は確認のために見よう、と思って字幕を頼りにせずに見ると、字幕が日本語特有の動詞は後から、となるので、これはこれでつらい。要はすべての原語をある程度聞ける能力があれば解決するのですが、いずれは可能になるのかもしれないけれど映画の間は無理なので結局ジレンマをかかえながら観ることになるという……原語を無視してしまえば問題ないのかもしれませんが、あらゆる情報が横文字でも流れるのでなかなかにつらい。

それでも、大概は勉強していたことやら過去に流れたニュースの内容からは逸脱していないので、やはり予習して観るのがいいのかもしれません。わたしももう一度観ないと消化しきれない感じです。

ヒトラーは大芸術(古典芸術)以外を芸術とは認めていなかったので、多くの絵画は退廃芸術のレッテルを貼られていたのですが、わたし的に面白かったのがオットー・ディックスです。退廃芸術展にも出展されていたのに、ナチス幹部は絵画を持っていたのだとか。その矛盾が何なのかわかりませんが、興味深かったです。ルドルフ・べリングの作品が退廃芸術展と大ドイツ芸術展の両方に飾られていたとか、ブレがあったのも面白い(どうでもいいですが、サイトホームページに退廃美術展とも書いてあって、表記統一よろしくお願いします……となりました。どうでもいい)。

 

いろいろな立場があると思いますが、かつての所有者が所有権を主張する、というのがいまいちわからないひとももしかしたらいるのかも。『黄金のアデーレ』では詳細が語られていますが、もういいや、と投げ出してしまうひともきっとたくさんいたはずです。わたしがもし名画を持っていたら、やはり取り返したい、と思うかもしれないけれど、美術館相手にするのはきついものがあるなあ、とも。でも、個人の財産だったものは本人が望むなら戻るのがいちばんなのかもなあ、などとぼんやりと。とはいえ、日本含めて多くの美術館が寄贈品からなりたっているところもあることを考えると、大きな保管場所イコール美術館、という考え方もあるのかも、などといろいろと考えていました。

 

今も歴史は続いている、ということで、まだまだナチスが持っていた作品は隠れていそうです。有名なもののひとつがグルリット事件、映画でも触れられているので、多くは語らないでおきます。ベルンへは行ったことがあるんですが、グルリット事件前に行ったので残念ながら展覧会は観ることが出来ず。またベルンへ行くことがあるんだろうか。

そうそう、以前観た映画に、『ミケランジェロ・プロジェクト』というのがあるのですが、これがまさにナチスに奪われた作品を奪還しようとするモニュメンツ・マンたちのことを描いていて、この映画を観る前後に観たらぴったりではないかと思います。ちょっとおちゃらけたところもあるけれど、それなりに真面目に作っていてジョージ・クルーニーやるな、という感じです。なにげにマット・デイモンも(もう大御所レベルなのに)いじられ役で出ているところもいい。

 

それにしても、ゲーリングって化粧までしていたんですね。ここのところ個人的にヒトラー関係の映画を観ていたので何だか驚きました。知らないことがたくさんあるなあ、ということで。パンフレットがほしかったのですが、品切れで入荷も未定とのこと。手に入るといいなあ。