久しぶりにマジ泣きました・・・映画『黄色い星の子供たち』

久しぶりにマジ泣きました・・・映画『黄色い星の子供たち』

いやー、映画館行ったのいつぶりですかね。ビューティフル以来ですか。
最近ガンダムに私生活の大半を奪われていまして(いろいろヤバいひと)、もうね、Gという文字見たら、「あっ、Gガンダムがどうかした?」みたいに反応してしまうますます残念な人になりつつあります。

そんな中、予告で見ていてどうしても見たかった映画を。
一言でいうと、戦争の映画、しかも、ユダヤ人の話ですから、とても悲しい映画です。
戦争映画がダメという方にはおすすめできませんが、大丈夫、という方にはぜひおすすめしたい映画です。
ほんとうにつらくて切ないのですが、でも、得るものは多い映画です。
しかも、話の大半は実話というのだから驚きです。

以下、あらすじ。前半のネタばれは説明上必要でして。もしこれから観るという方はスルーしてくださいね。

舞台は1942年パリ。
黄色い星、というのは、ナチの支配下にあったフランスで、ユダヤ人がつけなければならなかった印です。
Juif(ユダヤ人)と書かれたバッジのようなものを服に縫いつけて胸に皆つけています。
これを見て、偏見を持つ人もいました。ユダヤ人だと罵るのです。
彼らは悪いこともしていないし、むしろ主人公のジョーはクラスで一位の成績をとるほど優秀です。
逆に優秀だからこそ、ねたまれたのかもしれません。
けれど、それに負けない強い意志を彼らは同時にもっていて、貧しいながらも皆でたのしく暮らします。
そんな生活もつかの間。次第に、彼らは公共施設の出入りも禁止され、ユダヤ人の先生は失職したりと、すこしずつ、生活が変わっていきます。
そして、ヴェル・ディヴ(冬季競輪場)へと移送されます。


ここから、赤十字から派遣されたアネットが登場します。
アネットは、医師の手伝いをしながら、ジョーやその友だちのシモン、シモンの弟ノノたちと出会います。
救護室は、医師1人と看護婦6人しかいません。検挙されたユダヤ人は1万3000人もいるというのに。
人を増やさない理由は、証人を増やさないため、と映画の中で語られていますが、それよりも、もっと残酷な理由があったような気がしてなりません。
ともかくも、彼らは、ロワレ県ボーヌの収容所へと移送されます。
アネットも同行します。アネットは、彼らのために何かをしようと一生懸命になり、子どもたちに一瞬笑顔が戻ります。
けれど、やはり現実はすぐそこまで差し迫っていて・・・。
両親と離れ離れになったジョーは、ある決断をします。果たしてその決断は・・・。



この映画で救いとなっているのは、ユダヤ人たちとアネット、医師たちの良心ではないかと思います。
消防士の行動に涙したひとは多いのではないでしょうか。かくいうわたしもこの場面には泣かされました。
みんな見て見ぬふりなんてできませんよ。
そしてアネット。敬虔なプロテスタント教徒だから、というだけではなく、本当に心の底から子供たちのことを思っていたと思います。
そして、希望をもたらしてくれたラストシーン。
なんというか、安っぽいメロドラマとかそんなんじゃないです。本当の意味で泣けました。
戦争って何。どうして何の罪もない一部のひとたちがこんな目にあわないといけないの、と、本当に真剣に考えさせられました。親と子供が引き離されるほど悲しいことはありません。


あ、なんか感極まってしまってすみません。落ち着いて書けないような内容でした。
唯一冷静に分析(というほど大げさなものじゃないですが)できたのは、全体の映画の撮り方。この映画がフランス映画で、フランスらしいといったら失礼かもしれませんが、そういう切り口でとられた映画だったと感じました。フランスの微妙な政治的立場やおそらくは最も悲惨な現状がもっとあったであろうに、それを描かず、あくまで現代の視点に近いところから描いている点(曖昧な言い方ですが、ネタばれになるので・・・)など。対比として描かれているドイツ、フランスの高官たちが実にある意味での合理性をもっていて。例えば、冬服を持たずに収容所へ連れて行かれたユダヤ人のこと・・・これは、夏の間に殺されることを意味している、とか。とにかく検挙数だけを上げようとするフランス人。そんな合理性、いらないです。それをユダヤ人の心情と対照的に描いています。実に対照的です。一方、ユダヤ人たちの反応もうまく描き分けられていました。ジョーのお姉さんのヒステリーさと脱走した女の子の感情の対比など、うまく描き分けていたように感じました。その意味では見やすい映画だったといえます。

キャスティングは、アネット役のメラニー・ロラン。前に絶賛した『オーケストラ!』に出演していたひとです。
めちゃめちゃかわいかったですし、当たり役だったと思います。
そして、ジョー役のユーゴ・ルヴェルデ。彼はこれがデビュー作だそうですが、いい役者になる気がします。
医師役のジャン・レノ。メジャー映画に多く出演していますが、こういうフランス映画にもでるところが好きです。いい役どころでした。
個人的にはジョーのお父さん役のガド・エルマレもお母さん役のラファエル・アゴゲもとても好演だったと思います。
目で語れる役者といいますか。
ノノ役の男の子もとてもかわいかった。舌ったらずな話ぶりと天然パーマのくるくるっとした髪の毛がかわいくて。
監督のローズ・ボッシュさんは女性なんですね。この映画を撮るのに、モデルとなった方と対面されて、実に詳細な下準備をされてから撮られたそうです。他にも映画撮られていますが、この映画が日本初公開だそうでして。今後の作品にも期待ですね。まず日本でも公開を!

ついつい熱くなってしまった。今日はこのへんで。