ちょっと変わったSF短編映画『ラ・ジュテ』

廃墟のパリがでてくるちょっと変わったSF短編映画『ラ・ジュテ


クリス・マルケル監督による30分ほどの実験映画です。
一言でいうと・・・ちょっとおかしなSF映画です。
実は・・・何度も見ていますが、この前シネフィルイマジカでやっていたので、録画してまた観てしまいました。
映画の勉強されている方や洋画系シネフィルの方にはおなじみですよね。

SFといっても、モノクロフィルムを連続させたフォトロマンと呼ばれる作品です。
舞台は第三次世界大戦後の廃墟のパリ。放射能に汚染されたパリを救済するため、科学者が過去と未来に救いを求め、ある記憶にとりつかれた男を使って、実験をします。
パリが廃墟!!なんということでしょう。
勝利者は地下帝国に暮らし、敗者は捕虜となり、実験されるか狂うか・・・。
選ばれた男は、50日におよび実験を繰り返されます。要は過去と未来のタイムトラベルです。
どうやって時間旅行をするのかはよくわかりませんが、目にカバーをして、電極のようなものがついていますから、攻殻機動隊のようなやり方かと・・・。1962年の作品ですから、こちらのが先ですね。

少年時代の空港の送迎台の記憶にとらわれている主人公は、過去へ行き、ある女性に会います。
彼の記憶に残っていた女性です。ともかくも、2人は愛し合うわけですが、2人で自然史博物館に行くところが印象的。これがすべてを語っているといってもいい気がします。
要は、剥製のおいてある博物館。
彼もまた、そこに姿があるけれど、そこで生きているひとではないわけですから、剥製のようなもの。
時間を感じるということは、ものの存在を感じることであって、彼女とは時間を共有しているようでいて、共有できない。
彼女もまた彼がそこに来るまで、生きていない。
ハイデガーの『存在と時間』と世界の話が頭をよぎりましたが、よぎっただけで説明はできません(じゃあ言うなよ)。

過去への旅行が成功した彼は、今度は未来へと行きます。
未来の方が希望あふれているかと思いきや・・・・。
結論は差し控えますが、ラストが好みではあります。
これですべてがつながったな・・・という。


・・・え、こいつ何言ってるのって思いました?ええ・・・わたしもそう思います。
そういう映画なんです・・・・。
小難しいこと言ったりしてるひともいますが、わたしはこの映画はごくふつうに観ても楽しめる映画だと思っています。
ひとつひとつの写真のようなショットが美しいです。
音楽もきれいですが(たまにへんな音もありますが)、フランス語が何より美しいです。
そうそう、確かラ・ジュテは、先端という意味で、空港の送迎台のことを指していた・・・はずです(手元に辞典がない悲しさ)。
ま、間違えていたら訂正します・・。

短い映画ですし、息抜きにいいかもしれません。
わたしはガンダムの合間に観ました(おいおい)。
あと、言い忘れましたが、これが原案となり、『12モンキーズ』ができたという意味でも、重要な映画ですね。