『欲望のバージニア』を観る……トムハはカーディガン男子だった件。禁酒法映画まとめあり

いやあ……久々に震えが来る映画を観ました。
ここのところ禁酒法時代の映画が多いような気がします。
グレート・ギャツビー』も時代的には同じ頃ですよね。あまり禁酒法の話はでてきませんが。

この映画の何がすごいって…キャストが豪華。そして、俳優の演技をじっくり観れる(割と展開がゆっくりしている)。のんびりしたアメリカ東部の雰囲気と血なまぐさい抗争の2つが共存している。視点が禁酒法製造の側なので感情移入しやすい(これは個人差がありますが)。車や拳銃など細部の再現、衣装など視覚的にもたのしめる。「不死身」と言われる兄弟たちが惚れるくらい格好いい。末っ子のジャックらの成長や友情、恋が盛り込まれている。

わたしのイチオシは題名にもある通り……トムハこと、売れっ子若手英国俳優トム・ハーディです。
トムは『ダークナイトライジング』のベイン役でもハリウッド映画でも一躍有名になりましたよね(マスク被っていて顔がわかりにくかったのですが)。
とにかく演技がすばらしいんです、若いのに。一瞬の間もすごくうまく演じてしまうんですよ。発音から身のこなしまで映画の役によってまるっきり違います。
『Stuart a life backwards』(残念ながら日本語版はなく、UK版のみ)でおどけたホームレス役を演じ、『ブロンソン』ではマッドなイギリスで実在の服役囚を演じ、
『ブラック&ホワイト』ではクリス・パインと共演し、恋するCIAエージェントを演じ(コメディとアクション)、『裏切りのサーカス』では殴られ損なリッキー・ター役を演じ…と、とにかくアクションも演技もどちらもできる俳優です。今回はワイヤー的なアクションなどの派手なアクションはなかったものの、銃撃戦や殴り合いなどの場面でいいアクションも見せています。ネタバレになるので控えますが、とにかくこの映画ではトムが演じるフォレストが重要です。

以下、あらすじ(重要なネタバレは回避)。
物語は、主に末っ子ジャックの視点で描かれます(弟が書いた本が原作です。ちなみに映画の原題はLowless)。
バージニア州フランクリン。都会から離れた田舎で暮らすボンデュラント兄弟は密造酒を作り、街で売る生活をしています。「俺たちは死なない」と言い切る次男のフォレスト、酒を飲むと手がつけられない長男のハワード(ジェイソン・クラーク)、末っ子のジャック(シャイア・ブラーフ)。そこに突然働きたいとマギー(ジェシカ・チャステイン)という美女がやってきます。ジャックは兄2人と比べて度胸がないのですが、狂犬と呼ばれるマフィアのフロイド・バナー(ゲイリー・オールドマン)に憧れを抱きながら、牧師の娘であるバーサ(ミア・ワシコウスカ)にも心惹かれています。そんな中、新任の取締官レイクス(ガイ・ピアーズ)がやってきて、周囲の密造酒業者に賄賂を要求。それに屈しないボンデュラント兄弟であるが、徐々にレイクスとの手が及び、抗争へと発展することになるのですが……。

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演技でいえば、ガイ・ピアーズがすばらしいことは言うまでもないですよね。今回も裏切らない嫌味な悪役っぷりで、ゾクゾクしました。極めました、悪役☆って感じでした(意味不明。シャイア・ブラーフも繊細ないい演技をしていました。成長ぶりが見れたのがよかったです。演技もそれにともない堂々としていく気がして。
そして今回の注目若手株は、クリケット役のデイン・デハーン。すばらしいです、不自由な足をひきずるところとか。ダニエル・デイ=ルイス主演の『リンカーン』にも出演しているらしいのですが……調べたら、最初に大統領に演説について語る白人兵士の2人のうちの1人だったようです(わたしは一度で俳優の顔と名前を覚えられないので、後から大体こうやって調べています…映画好きなのに覚えられない)。
ジェシカ・チャステインは『ゼロ・ダーク・サーティ』主演でも知られていますが、また全然違った感じで、やっぱりきれいだなと。対照的にミア・ワシコウスカが少女のようにかわいいんですよね。その対比も面白かったです。ハワード役のジェイソン・クラークは、『ゼロ・ダーク・サーティ』にも出演しているんですね、φ(..)(例によって観ているけれど顔が、顔が……)。
それといいとこどりだったのは、ゲイリー先生ですね……かっこいい!!もっと出番あってもよかったのに!ちなみにゲイリー先生は、『裏切りのサーカス』でトムハとも共演していますね。静かなエージェントスマイリーとは全然違いますが、でもある意味クールですね、どちらも。

トムハのよさについては語りきれませんが、今回は、背中が語る、みたいな場面が多くて、まるい背中にずきゅんとされました…おまかにほぼカーディガン男子だったし、って、もちろん文化系男子、みたいな意味のカーディガン男子じゃありませんよ。攻撃的ですが、あのカーディガン、衣装さんがフォレストのキャラ生かすために着せたとしか思えない!それくらい似合っていましたし、キャラともある意味マッチしていました。無造作にポケットにナックルを入れる動作とか好きです。あと、セリフがない時に、「うー」みたいな声をあげるのが……たまらん!ってなりましたが、冷静に鑑賞された方はそうは思わなかったのかもしれません(恥。すごいことやってのけるのに、どこか不器用なフォレストにきっと女子ならずとも釘付けですよ!一緒に行った家族は、劇場出る頃にはすっかりトムハに惚れていました。できればスクリーンで観ることをおすすめします。大画面トムハ。最高です。

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さて、映画鑑賞ついでに、気になった禁酒法映画まとめ。
禁酒法が舞台の映画の代表作や興味深いものを列挙してみます(網羅しきれていませんが)。ちなみに禁酒法は、1920年から33年の間に施行されたアメリカの法律です。その間に密造酒を作ってお金を儲けたひとが多かった、という話が多いですね。

『暗黒街の顔役 Scarface』(1932年) ギャング映画の代表作。ポール・ムニ主演のアル・カポネの伝記的映画。
お熱いのがお好き Some Like It Hot』(1959年)シカゴが舞台。マリリン・モンロー主演のコメディー映画。
俺たちに明日はない Bonnie and Clyde』(1967年)アメリカン・ニューシネマの先駆的存在。大恐慌時代の実在の銀行強盗であるボニーとクライドをモデルにした映画。
『スティング The Sting』(1973年)ポール・ニューマンロバート・レッドフォード共演による賭博師と詐欺師のコメディ映画。
ペーパー・ムーン Paper Moon』(1973年)1935年の大恐慌期のアメリカ中西部が舞台。詐欺師の男と母を亡くした少女のロード・ムービー。1973年の第46回アカデミー賞でアディを演じたテータム・オニールが史上最年少で助演女優賞を受賞。
ダウンタウン物語 Bugsy Malone』(1976年)ニューヨークを舞台にしたイギリスで制作された子どもだけが出演するミュージカル映画。当時14歳のジョディ・フォスターが出演。
スカーフェイス Scarface』(1983年)ブライアン・デ・パルマ監督による1932年の『暗黒街の顔役』のリメイク版。オリヴァー・ストーン脚本、アル・パチーノ主演。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ Once Upon a Time in America』(1984年)セルジオ・レオーネ監督の遺作。ニューヨークのユダヤ人ゲットーで育った二人のギャングの生涯を描いた作品。ヌードルスロバート・デ・ニーロが、マックスをジェームズ・ウッズが演じる。
『コットンクラブ The Cotton Club』(1984年)1920年代から1930年代にニューヨークのハーレム地区に実在した高級ナイトクラブ「コットン・クラブ」が舞台。監督はフランシス・フォード・コッポラ
アンタッチャブル The Untouchables』(1987年)シカゴが舞台。ブライアン・デ・パルマ監督の言わずと知れた名作。ケヴィン・コスナーロバート・デ・ニーロショーン・コネリーと名優揃い。ショーン・コネリーは第60回(1987年度)アカデミー賞助演男優賞、第45回(1987年度)ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞。「階段落ち」のシーンは『戦艦ポチョムキン』へのオマージュとしても知られる。
『ハーレム・ナイト Harlem Nights』(1989年)1918年のニューヨークのハーレム地区が舞台。エディ・マーフィが主演・監督・脚本・製作総指揮。エディ・マーフィ版スティングとも言われる。
ミラーズ・クロッシング Miller's Crossing』(1990年) 1929年のアメリカ東部が舞台。コーエン兄弟制作映画。アイルランド系のボス・レオとイタリア系のボス・キャスパーの抗争を描く。
モブスターズ/青春の群像 Mobsters』(1991年)ニューヨークが舞台。チャーリー・ルチアーノ、マイヤー・ランスキー、ベンジャミン・シーゲル、フランク・コステロという実在の4人のギャングの若き日の抗争と青春を描いたギャング映画。
『ギター弾きの恋 Sweet and Lowdown』(1999年) 1930年代のシカゴが舞台。ウディ・アレンが監督、ショーン・ペンがジャズ・ギタリスト、ユマ・サーマンが上流階級の女性ブランチを演じる。
ロード・トゥ・パーディション Road to Perdition』(2002年)シカゴが舞台。サム・メンデスが監督、トム・ハンクスポール・ニューマンダニエル・クレイグジュード・ロウら豪華キャストが出演。アイルランド系マフィアであるマイケル・サリヴァンとその家族、。マフィアのボスであるジョン・ルーニーらとの絆と抗争を描く。
『かけひきは、恋のはじまり Leatherheads』(2008年) 1920年代のアメリカンが舞台。フットボールのプロチーム「ダルース・ブルドッグス」の選手たちをめぐるコメディ映画。監督、主演はジョージ・クルーニー


『ゴッド・ファーザー The Godfather』(1972年)なども入れていいかもしれません。コルレオーネは禁酒法時代にぼろ儲けしたそうですので。ただ、こういうのを含めると列挙しきれなくなりそうですが(;´Д`)。
やはりギャング映画が多いですね。観ていないものもたくさんあるので、時間ある時にまとめて観たいなあ〜。レンタルショップにもこういうコーナー作ってくれると、佐が家しやすくてありがたいですね。もしかしたらやってるところもあるのかもしれませんが。
とりあえずは今日はこのへんで。熱く語りすぎました。