観てきました!『ブリューゲルの動く絵』inユーロスペース、渋谷

観てきました!『ブリューゲルの動く絵』inユーロスペース、渋谷

こんにちは。新年最初の映画はこれになりました。
どういう映画かといわれれば・・・一言でいうと、アーティスティックな映画ですかねー。
原題は、the Mill & the Cross 粉ひきと十字架。
粉ひきって?まあ、それは観ればわかるのですが、丘の上に水車があり、粉を引いているんですね。
それが神のように世界を見守っていて、下には十字架を背負ったキリストがいます。
何言ってんだ、こいつ?って感じかと思いますが、ブリューゲルの《十字架を担うキリスト》(1564年、ウィーン美術史美術館)の絵を拡張したような映画なんです。
どこまでが絵画の世界で、どこまでがブリューゲルが観ていた本当の世界なのか、境目がよくわかりません。
でも、それはある意味でこの映画の特徴なのではないかと思います。120×170㎝の絵画に秘められたストーリーが、ほんとうに絵画からでてきたかのように語られているのです。
ただ、さすがはブリューゲルの絵画を元にしているだけあって、一筋縄ではいきません。
はじめは動く絵画、のような作品だと思っていたのですが、それとも微妙に違って、絵画に描かれたいくつかの人物のストーリーが語られます。
のんびりとした農村風景と奇妙な農民の音楽をバックに、ひとびとは朝目を覚まし仕事をし、村を歩きます。
子どもたちは遊ぶことが仕事で学校へ行っている様子はなく、ほのぼのとしているのですが、そこに馬に乗った赤い服を着た男たちが村を荒らします。
その様子を、パトロンであるヨンゲリンクが嘆きます。ブリューゲルはその様子を絵に描こうと村で絵を描くのです。
その描かれた絵とブリューゲルが描いている場面が一緒になっていて、観ているものは、何を観ているのか一瞬わからなくなります。
そうした奇妙な感じこそが、ブリューゲルらしさを表しているのかもしれません。
やけにリアルだったのは、音。ハエや馬の蹄の音などがやけにはっきり聞こえてきました。
わたしは騒音の類があまり得意ではないので、それにはすこしまいりましたが・・・。

ヴェネツィアビエンナーレに出品されるなど、世界各国ではアート・ビデオとして紹介されているようですね。なんだか納得。
監督のレフ・マイェフスキは、『バスキア』で有名になったひとですね。絵画を元にした映画をたくさん作っている方のようです。
かなり異色な映画ですが、『まぼろし』で主演をつとめたシャーロット・ランプリングなどがでています。
アートな映画もたまには観てみたい、という方にはおすすめです。