今週はなぜか映画レビュー・・・『オーケストラ!』

今週はなぜか映画レビュー・・・『オーケストラ!』

ええと・・・どういうわけか映画レビューのほうがウケがいいみたいでして・・・(個人的リサーチ)。
自分がいいと思ってるもののほうがだめなのか・・・受容とはわからぬものよ・・・そんな黄昏感からはじまった今日のレビューですが。


感動の知られざる名作を・・・。
大規模スペクタクルより小さな感動を、がモットーの小市民です。
とはいえ、この映画のスケールは小さくはない・・・・!
旧ソ連共産主義の話もかかわってきますからね・・・そして大規模な仕掛けをするんです。
そうですね・・・『善き人のためのソナタ』って映画が東西ドイツ分裂、その後の東のひとを描いたかなしいけれどいい話、の金字塔だとすると、これはわたしの中では旧ソ連時代、以後の、いい話の金字塔ですね(あくまでわたしの指標ですのであしらからず。同意者求む)。

グッバイ、レーニン!』にも通じるところがありますね。
まあ、あれは市民の話で、これは題名が示すとおり、オーケストラの話。
劇場清掃員をやっている中年男アンドレイ・フィリポフが繰り広げる奇跡といいますか。
旧ソ連共産党時代にユダヤ人排斥があったそうでして。その排斥を拒絶したため、彼はロシア・ボリショイ交響楽団の首席指揮者を解雇されます。
その後しがない清掃員をしているのですが、ある日一枚のファックスをふと目にし、キャンセルされた公演をかつてのメンバーを集めて、かわりに出演しちゃおうと考えているわけですから、すごいです。
ネタばれになるので、これくらいにしておきますが。
そのかき集めるメンバーというのがすごい・・・。破天荒といいますか。人間的にもそうですが、音楽的にも。
でも、ちゃんと現役バリバリのソリストのバイオリニストと合わせられる。
なんていうか・・・音楽って、結局は型どおりのものというより、身体で感じて表現するものなんだって思いました。
もちろんある程度のレベルを超えたら、の話ですが。


そこに、やはり感動があるわけですよ。この主人公の思いもよらぬ過去が明らかになり。
まあ、公演に至るまでの間のドタバタがたのしい!それ、いいの?大丈夫?とハラハラしたり、行動に思わず笑ったり。

公演の成功、ということだけではなく、さらに主人公の人生にまつわるドラマが加わっていることで非常に重層な作りになっています。
とはいえ、わかりにくいことはありません。心情含め実に丁寧に描かれています。

ちなみに、主演のアレクセイ・グシュコブはロシアの名優だそうです。
それから、もうほんとにヒロインのメラニー・ロランがかわいい!!もう、きれい!かわいい!うっとりする!
ちょっとコミカルな役として、シャトレ座の支配人役で『トランスポーター』で有名なフランソワ・ベルレアンがでています。
笑う!あんなかっこよかったのに、おじさんになってる(そこ?)!

音楽もすごくいいですね・・・チャイコフスキーってこんなにいいの??と思わずうなってしまいます。
ヴァイオリン協奏曲 二長調ですか・・・。
そうですね・・・ちょっとこれ聴くだけでうるっときますね。

ラデュ・ミヘイレアニュ監督・・・『約束の旅路』とこの2本だけしか撮ってない・・・・!!もっとお願いします!!
とてもいい映画でした。。泣いて、笑って、こころあたたまる、の代表ですよ(個人的評価です、あくまで)。