ピーター・メイル(著)池央耿(訳)『南仏プロヴァンスの12か月』(河出文庫、1996年)

ピーター・メイル(著)池央耿(訳)『南仏プロヴァンスの12か月』(河出文庫、1996年)


さて、なかなか一歩レビューへいけないのはどうしてなのか・・・。
とりあえず、本棚の本をさらっと拾って読むという連休の読書タイム。

簡単にいえば、エッセイですね。紀行ものといいますか。n
けっこうその道(フランス系)では有名なものだと思います。
BBCがドラマ化したものをNHKでも放送したそうで、そちらで知っている方もいるのではないでしょうか。
著者はイギリス人ですが、86年にフランスのプロヴァンスに移住します。
田舎での生活、慣れないフランスの土地。
とはいえ、イギリス人だもの、フランス語は余裕で、生活も似てるでしょうに、と思いましたが、そこは違う。
まずプロヴァンス地方の独特の方言や生活、そしてフランス独自のやり方。
少しでもフランスを知っているひとは笑えるし、知らないひとにはへえ、そうなのかと思える。


わたしにはひとつひとつがうんざりなことでも、この著者はそれを一蹴というより一笑してしまう強さというか、ユーモアをもっているんです。
たとえば、「私たちは否も応もなくフランスの国技、書類集めに参加するしかなかった」とありまして。
土地を買うのが外国人ゆえに苦労したのだとか。
その後、自動車購入の際に、さらに苦労。
「フランスが断じて世界一の座を明け渡そうとしない二つの分野、官僚主義と美食信仰とが相俟って私たちは完全に立ち往生した」
その後パスポートなどを持ち歩くようになった著者。
見せるとひとから「それはご苦労なことだ。イギリスとはまた何と不可解にして七面倒な国ではないか」と言われて、「こう言われてあっさり答えるには肩をすくめるしかない。私たちはすくめる稽古をした」とあります。
なるほど・・・!なんてユーモア。偏見かもしれませんが、イギリス人らしいユーモアじゃないですか?

そんな素敵なエピソードの中からいくつか。。
献血のご褒美というのがすごい。
イギリスでの献血のご褒美は一杯の紅茶と日スケッチ一枚。
プロヴァンスでは、コーヒー、クロワッサン、ブリオッシュ。サンドイッチはハムとガーリック・ソーセージ。ワインは赤とロゼ。
ええっ。すごいすごい。
献血後にワイン飲んでいいんですか??

それから挨拶。
フランス人はビズ、といって、頬というか、首筋あたりにキスをします。
ここでいうキスもこれだと思います。。多分ですけれど。。。そうですよね?それで間違いないよね??(誰確認なんだろうか・・)

プロヴァンスの場合は、手がふさがっているときは、小指をからませる。
手が触れている時や汚れている時は、前腕か肘を差し出すんだそうで。
もっと親しい間柄では、男同士がキスをします。
・・・・え・・・・?ビズでしょ?首筋のあれのことですよね?

「あるいは肩を抱き合い、背中を叩き合い、腎臓のあたりを小突き、頬をつねったりもする。相手のプロヴァンス人が対面を心から喜んでいるならば、抱擁から逃れた時は、掠り傷のひとつも負っている危険なしとしない」

最後のところは、イギリス人ユーモアとして差し引くとして・・・なにこの頬をつねるって、腎臓小突くってなになに?
見たことないですが・・・!アラブ系のひとが濃い挨拶しているのは見たことあるんですが、そんな感じかな?


カフェで学生さんを観察しながら法則を見出したり、ひとと接触しながらいろいろと出来事が起こって。

びっくりなのは、「イル・ヴィエンヌ!レ・シェーヴル!」
え・・・。
訳すると、「山羊が来るぞ!」
こないよ、ふつうこないよ!!


そんな田舎ライフ!これを読むと、行ってみたくなりますよ、フランスに。
自然と豊富な食材とありえない出来事に、魅力あるひとびと。
この本一冊で12か月めぐりながらプロヴァンスの旅が気軽にできますよ。


それではまた明日!