勝田文(著)P.G.ウッドハウス(原作)、森村たまき(訳)『プリーズ、ジーヴス』 1巻 (花とゆめCOMICSスペシャル、2009年)

勝田文(著)P.G.ウッドハウス(原作)、森村たまき(訳)『プリーズ、ジーヴス』 1巻 (花とゆめCOMICSスペシャル、2009年)



ちょっと、原発記事をみる時間がなくて・・・。たまにはふつうの漫画を。
いや、あまりふつうではにないかもしれませんが。

いわゆる「執事」ものですが、正確には、執事ではないんです。。
ジーヴスは、従者・従僕(valet)だそうです。執事は家につき、従者は主人に仕え、身の回りの世話や家内の掃除洗濯、主人の快適な暮らしのために最善を尽くすのが従者の仕事だそうです。
彼の主人であるバーティは、貴族なのですが、おバカ。このバカさ加減がイギリスという気がします。
原作はP.G.ウッドハウス。20世紀に活躍した(1881年に生まれ、93歳まで生きたそうです!20世紀ずっと活躍していたような人ですね)ユーモア作家とのこと。
このように原作が翻訳されて、さらに漫画化されるのって、珍しいですよね。
イギリスの階級の話や、貴族の生活が垣間見れますが、それがかなりリアルに感じられるのは、原作があるから、なのですが。
勝田先生のかわいらしい絵柄と、繊細な線が非常にマッチしています。話もばかばかしいな、これ、というものが多いのですが、それもまた面白い。
小説が元なだけあって、一話一話が短編小説のようなつくりになっています。
これは小説のほうもぜひ読んでみたいですね。
ジーヴスは、完璧な執事で、今読める日本の執事ものも大体この路線だとは思いますが・・・原作の時代からすると、かなり原点的なものだと思いますが。
とにかく話は、正直言うと、その時代背景とか抜きにすると、貴族って毎日こんなくだらないことしてたのか!と驚きます。
水玉のネクタイの話とか賭けごとの話とか、結婚の話、好きになった女の子の話・・・今と通じるところもありますが、やはり貴族なので、仕事はしてません。。
いいな。。とか言ってはいけないのでしょうが。。
それにしても、ジーヴスはほんとにすごい。
別に武術ができるとか、魔法が使えるとか、そういうすごさではなく、執事としての完璧な仕事ぶり。
二話目のトウィングという村へ行く話がわたしはとても好きでして。
例のごとくバーディが女子スプーン競争と少年合唱団100メートルハンデ競走の賭けをすることになるのですが、ジーヴスが一押しするハロルドくんが、まるまるしてるのに、俊足!この子に賭けようとするのですが・・・一筋縄ではいかず、そして、友人ビンゴの恋もうまくいかず・・・。
このどたばた劇の後、ジーヴスがなんとも華麗にこのどたばたに終止符をうってくれるのです。
このさばき方がまさに完璧!ダメなご主人のことは百も承知で、それをどう収拾するのかがジーヴスの仕事でもあるわけです。
見事な解決、のときもあれば、主人に有無を言わさない力技で解決することも。
ジーヴスは機械のように正確で間違いがない、と思わせるのですが、その人間らしさもまた魅力だったりします。
改めてイギリスの執事ものがみたいな、なんて思った人にはおすすめですね。
この漫画を読んだあとは、紅茶が飲みたくなります。執事はおりませんので、自分で。。。。