宮下 規久朗 (著) 『食べる西洋美術史― 「最後の晩餐」から読む』(光文社新書、2007年)

宮下 規久朗(著)『食べる西洋美術史― 「最後の晩餐」から読む』(光文社新書、2007年)

一歩がなかなかあげられなくてすみません。。
とりあえず、また美術本を。。

食べ物と美術。。それには深いつながりがあります。
著者が副題でも上げているとおり、《最後の晩餐》の料理はなんだったのか?
いや実際、自分がもし最後の晩餐に食べるとしたら、何にするのか、そういう話にしても、非常に興味そそられるものではないでしょうか?
キリスト教で重要な食べ物は、ワインとパン。キリストの血と肉を象徴するからです。
もちろん話はそれだけではなく、著者の美術史の知識があふれんばかりに押し寄せてきます。
食事の情景や台所、静物画に至るまで、食にまつわる絵が丁寧に、そして、簡潔に記されています。
静物画に描かれた食べ物などにも、意味がいろいろとありますからね。。。
その時代にしか通じないものがあったり、画家が面白がって描いているものなんかもあったりしますから、そう簡単に読み解けなかったりしますが、ときには苦痛でもあり、その読みときが面白くもあり、絵を観ることはやはり面白いと感じます。
最終的にカニバリスム(人食い)までいきますからね。。時代も印象派ポップアートまで語られています。
これまで、ありそうでなかった種類の本ではないでしょうか。
先日とりあげた『怖い本』も異色でたいへん面白いのですが、こちらは、カラヴァッジョ等の研究で知られる宮下先生の本だけあって、学術的裏付けと話の面白さが相まって、美術史を勉強する学生さんなんかにもお勧めだと思います。

短いのですが、今日はここまで。



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