高階 秀爾 (著)  『フランス絵画史』 (講談社学術文庫)

高階 秀爾 (著)  『フランス絵画史』 (講談社学術文庫)

一歩と離れて、まじめなレビューです。いえ、一歩の方もまじめにやっているつもりなのですが。。

フランス近代絵画、いえ、西洋美術を学ぶうえで、高階先生のお名前を抜きには語れません。
ご著書もたくさんあり、どれをどう読んだらいいの?というときに、真っ先にお勧めしたい本のうちのひとつです。
フォンテーヌブロー派から、ナビ派などの19世紀末の画家まで400年近いのフランス絵画の歴史が一望できます。もともとは、『大系世界の美術』(学習研究社、1971〜73)と『ルーヴルとパリの美術』(小学館、1985、86)に発表されたものです。加筆を施され、一冊の文庫にまとめられました。
内容の質の高さから、この値段で買えるのは本当にすごいと思います。
引用されている文献は高階先生が翻訳されていますから、原文と照らし合わせたときにも大いに役立ちます。文章は簡潔ですが、実に深い内容です。
けれども、意外とこの本を引用文献として用いることは難しいと思われます。
読めば読むほど、まるでここに書かれていることが当たり前のように感じるというか、もはやこの本に書かれていることが西洋美術の指標となっているかのような印象を受けると思います。否定しようがない内容、といってもいいかもしれません。
巻末の作品と参考文献表もたいへんよくできています。
参考文献はアップトゥデートしなければなりませんが、古典的名著があがっています。
わたしは、美術史を習いたての頃、海外へ旅行へ行くときに、これを携えて行っていました。
これをルーヴルあたりで作品を山ほど見た後に、ホテルでぱらっと開いてみると、ああ、そういう流れだったんだと、理解できるのです。
ちなみに、某大学の某授業で、必須参考文献にあがっていました!
もしフランス美術にすこし興味があるんだけれどすこし読み応えがあるちゃんとした本が読みたい、なんて人にはうってつけの本です。



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