『レ・ミゼラブル』観てきました。

観てきました。話題作だけあって、ほぼ満席の銀座丸の内ルーブル
ミュージカルのほうは数年前に観ているので(日本でですが)、それとくらべるように観れたらなあと思って。
監督は『英国王のスピーチ』のトム・フーパーですし、何と言ってもアン・ハサウェイの歌声がすばらしいという前評判は聴いていましたから。

うーん…確かに歌はすばらしかったです。舞台で使われていた曲はほとんど使われていて、新曲も数曲混じっていたそうですし。
アン・ハサウェイの見せ場は確かにすごかった。女工(といまは言ってはいけないのかもしれませんが)から娼婦へと成り下がる様や泣きながら歌う「夢やぶれて」の熱演。はっきり言ってこの場面だけでも見ものです。
ジャン・バルジャン役のヒュー・ジャックマンもジャベール役のラッセル・クロウも正直あんなに歌えるとは思いませんでした。ゴメンナサイ
でもラッセルはどうしても現代版刑事役のイメージが強くて、タバコふかしてそうな気がしてなりませんでした。


ともあれ、元々この話にはいろいろわからない点があるんですよね、わたしなりに、ですが。
なぜあんなにジャベールは執拗にジャン・バルジャンを追いかけるのか。ファンテーヌはコゼットをどうしてあんなダメ夫婦に預けたのかとか…細かいところを言うときりがないのですが。ジャベールが何か謎なんですよね…最期も何か腑に落ちない。
それは原作をきっちり読んでいないからかも、と思ったので、今度ちゃんと読んでみます。読んだのはだいぶ昔なので。


映像的なことをいいますと、確かに舞台では見られない役者のクローズアップが多用されていて、おそらく舞台をかなり意識していたんじゃないかと思いますが(舞台で役者の顔がクローズアップになることはないので)…それゆえにかなり単調になっていたともいえました。出だしのところはすごくよかったんです…とにかく出だしは…。
その点がすごく残念でした。前に『オペラ座の怪人』を観たときにも思ったのですが、舞台を映画化すると何か足りないものばかりが見えてしまうなあと…。
もちろん舞台にはない映像のよさというのはあるわけですが、映画にしてしまうと削ぎ落とされるものもあるなと。
例えば、喜劇の部分。テナルディエ夫妻の軽妙なやりとりの部分がほとんど笑えない。うまいなとは思いました、スリの場面の再現などは。
けれど、最後の登場場面も何か笑えないんですよね。映像として見てしまうとどうしてもそうなってしまうのでしょうけれど。
コゼットと恋仲になるマリウスに恋していたエポニーヌ。彼女の役をやっていたサマンサ・バークス。彼女は歌も抜群にうまいのに、どこかかわいさがない…のはどうしてだったのでしょう。役に入り込んでいたからなのか…革命に参加する場面とかかわいく見せられたんじゃないかと思ってなりません。
手紙のやり取りの場面(コゼットの手紙をマリウスに渡す)ところなどはもうすこし舞台ではやりとりがあったようにも記憶してますが、記憶違いかもしれません。

革命の場面は映画らしくもっと迫力があってもよかったのに…とつい思ってしまうのはわたしがアクション映画を観すぎているせいかもしれません。
革命といってもここでの革命はフランス革命ではなく、ボナパルティズム、ナポレオンの復活を唱える運動なんですよね…何か騒動のようにも見えて若者の無駄死にが涙を誘います。それはミュージカルでも映画でも一緒ですね。

歌を聴き、役者の顔を見ながら筋を確かめるという意味ではよかったと思います。

007のレビューを書いていなかったなあ…次はそれでも書こうかな。
今日のところはこのへんで。