映画『ゴーン・ガール』を観る☆後半ネタバレあり

久しぶりに映画レビューですね。
マイペースにやっていこうと思いますので、今年もどうぞよろしくお願いします。
もう少し頻繁に書いていけたらいいなと思っています。

さて、2014年最後に観た映画は、『ゴーン・ガール』でした。訳せずとも意味はいなくなった女の子、と言ったところでしょうか。
アメリカでベストセラーになったミステリー小説を映画化したものです。『ゾディアック』や『ソーシャル・ネットワーク』『ドラゴン・タトゥーの女』で知られるデヴィット・フィンチャー監督作。最近では『ハウス・オブ・カード』という人気ドラマの監督でも知られています。
一方主演のベン・アフレックといえば、最近では『ランナー・ランナー』で悪役を演じておりましたが、この映画では、愚夫ともいえるさえない三枚目ニックを演じています。
物語中盤までは、こんなに彼自身に穴があってはうまくいかないだろうに、かわいそうに、と思っていたら、思わぬ展開(妻のしていることが映画内で明らかにされます)で、どちらがうまくことを運ぶのか読めない展開に。

妻のエイミー役にはロザムンド・パイク。はじめはやはりあまりさえないかわいそうな妻かと思いきや、途中からものすごいたくらみをしていたことが明らかに。後半はこの方の美貌が見所のひとつともいえます。
いわゆるミステリーものというのは、犯人視点や警察側の視点などさまざまあると思いますが、この映画では警察はほとんど役目を果たせません。かわりに、妻をよく知る夫と弁護士が活躍するわけですが、その弁護士がいかにもアメリカらしいというか。メディアの使い方をよく知ってるなというかんじ。大衆の心理をつかむのはこういったひとなのでしょうね。
日本でも不可解な事件はワイドショー的番組はで取り上げられますが、アメリカもその点は一緒だということがよくわかりました。



ここからは激しくネタバレです。

すごいなと思ったが、妻の事件の作り込み方。わざとそれらしい殺人現場に仕立てて、自分は逃亡して、夫に罪を着せるわけです。その手口が本当に汚いというか、こわい。ゲームをしている夫に自分にかけた保険金を引き上げる署名をさせ、近所の頭の悪い主婦(という言い方を妻がしています)と友だちになり、妊娠を打ち明け味方につける(尿は妊娠中の彼女からとる巧妙さ)。現場はわざと穴があるように作り込み(夫が偽装したように見せかける)、夫のクレジットカードを使い込む(借金を理由に自分を殺害しているように見せるため)、買った商品は夫の双子の妹の家の倉庫へしまう。もうほんと悪いとしかいいようがないし、こわいです。
そして、自分を好きだった男を利用して(途中変装して逃げ回るも、金を取られて困って彼に連絡する。これも計算だったのかもしれませんが)、最終的には、彼を殺害して、夫の元へ戻るという。
警察にも打つ手がなく、結果としてニックたち夫婦は出版物やらテレビ出演やらで借金とはおさらばした模様。元々妻のほうは両親の借金のせいでお金がなかった上無職になっていたわけ(と途中で説明が入ります)ですから、彼女にとっても好都合だったことでしょう。夫婦は共犯関係にあり、おまけに夫が保存していた精子で妊娠も果たした妻。夫も彼女からもはや逃げることもできないでしょう。もはや偽装し続けるしかないことをにおわせて、映画は終わります。
救いようのない話のようですが、「完璧なエミリー」(母親が書いた小説の主人公)のモデルとして生きることに疲れたエミリーの新しい一歩だったのかもしれません。
エミリーの唯一の失態(ではないのかもしれませんが、そう見えました)は、変装して住んでいたコテージのようなところで金を巻き上げられてしまったところでしょうか。みじめな格好で自分より地位の低いひとに騙されたのは屈辱だったのだろうな、ああいうひとにとっては。それゆえに同級生の家に転がりこんだのかもしれません。

ともかくもぞっとさせられた映画でした。

ロザムンド・パイクといえば、「ワールズエンド」でマーティン・フリーマンの妹役で出演していましたね。すっかり忘れておりましたが、それ観たときもやたらきれいだなと思いました。知的なブロンド美人ってこわいなあ。

というわけでまた!


12/20(土)「はじめの一歩」森川ジョージ先生のサイン会に参加しました@芳林堂書高田馬場店

ひさしぶりに一歩レビューが書ける!
12月20日(土)、週刊少年マガジン55周年特別企画「はじめの一歩」109巻発売記念イベントとなる森川ジョージ先生サイン会に参加してきました!!

場所は芳林堂高田馬場店。
わたしにとっては思い出の場所ですね。大学の最寄り駅でもあったし、中野に住んでいたので、ここで漫画を探すことは日常でした。

芳林堂さんのツイッターで、森川先生のサイン会があることをしり、これは参加せねば、と思いました、が、整理券(正確には整理券の引換券)はその一週間前に書店でゲットしなければならないということで、13日の朝に並びました。
9時半近くに到着したので、わたしの順番は70番目で、早い方は8時前から並んでいたのではないでしょうか。10時前には100名分に到達しそうになっていました。あぶない!開店は10時でしたので、長い人は2時間以上寒空の下待っていたわけで……さすがは現在週刊マガジン連載中の100巻を超える人気漫画だけあります。わたし、ぎりぎりゲットできて本当にラッキーでした。

そして迎えること当日。
サイン会は、13時からと15時30分からの2回あり、2回目に参加しました。最新巻をお店で購入し、120番をゲット、店内で待つことしばし。
係の方がやってきて、「まだ前の回が終わっていませんので、もう少々お待ちください」とアナウンス。
え…?終わってない?どういうことだ!?試合途中の木村さんばりに驚きつつ、ツイッターで情報収集。
どうやら、「先生に質問できる」「写真も撮れる」「原画が見れる」「キャラを描いてもらえる」ことが判明。
な、なんだってー!?確かに、その後係の方が言ってる、キャラ描いてもらえる、写真もオッケーです。質問も考えていてください……わたしの頭の中はぐるぐると質問事項がよぎる(そしてツイッターで質問を募る)。どうしよう、宮田くんの私生活?木村さんの出番を増やしてくれと頼むか?いや、フィギュア化について熱く……もうわたしの頭は大混乱で、おまけに、整理券には先生へのメッセージを書く欄までご丁寧に記載されていて、もうこれはとにかく書くしかないと階段に座り込んで書き始めつつ、ツイッター眺めつつ、忙しい。

それから、予定より20分くらい遅れて、8階へと通されます。番号順に呼ばれるとどきどきします。
ってか、8割方男性……そりゃそうですよね。
ともかく、先生の休憩が終わるまで、原画を拝見することに。
先生が待ち時間考慮してもってきてくださったんだとか!ひー!!ありがたい!!

こんな感じで飾られていました。
ちなみに、①原画は写真撮ってOK父さん②アシスタントさんに渡す前の貴重な原稿は撮影NG
とのことで、食い入るように見ながら写真撮影。



ところどころ影が入っているのはお許し下さい……光の関係でこうならざるを得なかったんです。。。


何せいちばん食い入ってみていたのは、宮田くんのポスター画ですよ!!!
ひゃー、実物の美しさよ……。


アップにしても美しい…!

そうこうしているうちに先生がいらっしゃいます!
ここで、原画は先生が持ち込まれたこと、前回の途中から写真OKにしてしまったため、時間が押していることなど先生自ら説明してくれます。
なんていいひとなんや……キャラは描きますが、キャラはひとりですよー、とのこと。それと描けないキャラもいます、との説明に会場がどっと笑いに包まれました。島袋はNGだそうです。前回は沢村、ヴォルグが人気あったそうです。

前には20人もいるので、のんびり待つことに。
みんなどのキャラを頼むかちらっと見たりしていると、原稿入れ替えタイム。
モノクロの原画に差し替えになり、再びガン見&写真撮影。


すかさず木村さんのアップを撮るわたし……。多分ここに食い入っていたのはわたしだけでしょう。

「こちらは局部隠して公開してね★」とのことだったので、はい(笑)。

もっとちゃんとしたのあげろ言われそうなので、あげます。


撮るのが下手ですみません……光が……影が……。


待っている間、ヴォルグは線が多くて描くの大変だけど、みんな喜ぶから描いているんだよね、とか、そんな話もちらちらと聞こえてり…確かに大変そう。

原稿は本当に迫力がありました!
原稿は先生がご自分で保管されているそうです。すごいなあ……。ものすごい量でしょうね。
マガジンより少々大きめの原稿で、雑誌掲載時は、20%くらいに縮小されているそうです。

ちなみに、写真撮影NGの原稿は、連載中の間柴戦でした。まだ鉛筆の線が残っている貴重な原稿。
セリフも先生の手書き(字がきれい…)でした。これからベタを塗って鉛筆線は消されてしまうので、貴重です、とのことでした。
説明してくださったのは、多分編集の方だと思うのですが、いろいろお話してくれてありがたかったです。

それでもって、いよいよわたしの順番……。
わたしだけがテンパりすぎて一方的にアホな会話(少々記憶が改ざんされている可能性あり)をお届けします。

先生「誰にする?」
わたし「宮田くんと木村さんでめっちゃ迷っていますが…(2人描いてくれないよなあ」
先生「どっちにする?」
わたし「(ですよね)木村さんで!」
先生「おー、めずらしい」
わたし「木村さんめちゃくちゃ好きなんです」
先生「へー(鉛筆で下書きしながら」
わたし「あのー、今日はいろいろ先生にお伝えしたくてですねえ」
先生「何ー?」
わたし「まず、今日来られなかった福岡の友人が宮田くんへの熱い想いを届けてほしいと言われまして。宮田くんの試合が見たいですと伝えてくださいと…彼女たち、先生のサイン色紙を見にラーメン屋さんへ」
先生「え、ラーメン?」
わたし「ラーメン屋さんに先生のサインがあるからそれを見に…」
先生「ラーメン屋に描いたっけ(編集さん?のほう見ながら」
わたし「えー!一歩の顔描いていらしたみたいですよ」
先生「記憶にない!」
わたし「えー!(周りも笑い」
先生「妻が福岡出身だから描いているかもしれないけれど、覚えてないなあ」
わたし「(時間があればツイッターの画像みせるけど、いやまて、わたしはまだ言うことがあるんだ)そうですかー。あ、の、木村さんなんですが、フィギュアとか作らないんですか」
先生「売れないから」
わたし「売れますよー!青木さんと一緒に」
先生「ダメ、売れない」
わたし「売れます!買います!」
先生「君の企画は全部ダメだね(周りも笑い」
わたし「え、そんなことないですよ!?(あれやべえ、描き終わったら会話が終了だよ)あの、それで木村さんの試合は……長い試合がみたいんです。死刑執行好きなんです」
先生「木村は弱いからね(一蹴」
わたし「弱くないです、かっこいいです、木村さん」
先生「いやいや」
わたし「え、じゃあ宮田くんの試合は?」
先生「いま間柴と千堂の試合で頭がいっぱいだからねー」
わたし「(ってことは後から描くのかなー)そうですよねー、たのしみです。ところで、宮田父の名前つけてあげてもらえませんか」
先生「名前……あったんだよ」
わたし「へ!?いつもアニメのテロップでも宮田父としか……」
先生「最初に設定とか書いたノートがあったんだけれど、なくしちゃって。なんて名前だったかなー」
わたし「思い出してください!!」
先生「キャラクターの誕生日とかいろいろ書いてたんだけど。あれどこいったかなあ」
わたし「へー、そうなんですね」
先生「一歩の誕生日は勤労感謝の日で」
わたし「いい子ですもんねえ。宮田くんは8月27日ですよね」
先生「そーそー」
わたし「(先生が設定してたことに感動…)ところでコミックスはあとどれくらい続きますか(答えてくれなそうだけど」
先生「150巻くらいかな。僕が描きたいと思ってもねー、置かせてもらえれるかどうかわかんないから(書店さんのほう見ながら」
わたし「え、お願いします!(書店さんの方に頭下げ、周りも笑い」
先生「僕じゃないからね、決めるのは」
わたし「お願いしまーす(書店さんと編集さんに」
わたし「(あ、しまった、アホなことしてたらもう描き終わっている…)先生、年末のボクシングの試合どなたの試合がたのしみですか」
先生「うーん、内山選手かなあ」
わたし「わたしもたのしみです」
先生「三浦選手(だったと思いますが…記憶違いだったらごめんなさい)とまたやってほしいんだよね」
わたし「そうですねー(知ってるわ、それ」
先生「君、詳しいね」
わたし「一歩のおかげでボクシング好きになったんです」
先生「ふーん(うれしそう?)」
で、写真撮影して、木村さんをいただきました。
ひゃー、緊張してアホなことばかり聞いて、いろいろ大事なこと聞き忘れてしまった気がする。
そして漏れ、記憶違いあったらすみません、先生……。
大体こんな感じの話だったと思います。

で、描いていただいた木村さんです。麗しい……!

わたしの質問攻撃に耐えつつ、こんな麗しい木村さんを……一生の宝物にします!

多分わたしが「かっこいい」を主張していたからでしょう……ひとによっては、「どんな顔がいい?」って聞かれていた方もいたようです。
わたしには、聞くまでもなかったんだろうなあと。


ついでに、家族がもらった宮田くん!!かっこいい!!!

こんなアホなレビューではなく、家族がまともなもの書いていますので、よかったらそちらもご覧ください。

http://www.kobonemi.com/entry/2014/12/20/%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%AE%E4%B8%80%E6%AD%A9%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3%E4%BC%9A


開催してくれた芳林堂高田馬場店さん、編集さん、そしてもちろん森川先生ありがとうございました。
みなさんとても優しくてうれしかったです。
またやってください!!
原画展もいいなあ〜!

というわけでまたー(*´∀`*)!


おひさしぶりです。『ホビット 竜に奪われた王国』観てきました

映画はちょいちょい観ているのですが、多忙につき、ほとんど書いていませんでした。
年末くらいから観た映画列挙だけしておきます。感想を書く時間がちょっとなさそうなので。

『マラヴィータ
『2GUNS』
魔法少女まどか☆マギカ 新編叛逆の物語』
『ゼロ・グラヴィティ』
『ザ・イースト』 
『トランス』
『顔のない依頼人
『悪の法則』
それでも夜は明ける

で、今日はこれを。
ホビット 竜に奪われた王国』

一作目はDVDで復習しておきました。
スマウグの声がベネディクト・カンバーバッチだし、ホビットマーティン・フリーマンだし、これは観るしかない!とずっと思っていたのに、観たのは実際遅かったです。ぎりぎりセーフ。
いやあ…スマウグすごかったです。一瞬ベネディクト??ってなりました。
あれだけいろいろな声が出せるのってやっぱりすごい。入魂の作ではないでしょうか。

映像は一作目同様ものすごかったんです。もうどこがどこまでCGなのやらという感じで。
そしてマーティンの演技が細かい!やはりすごい俳優なんだなと思いました。ワイン樽の倉庫にひとり置いていかれたときの演技がもうほんとに。
スクリーンで観るとそのよさが本当によくわかるなあという。そして、もう一度『ロード・オブ・ザ・リング』が観たくなりますね。

キャラクターでいうと、わたしはドワーフの中では断然キーリ押しなのですが、オーランド・ブルーム演じるレゴラスもいいです。
女子率低い中、タウリエルが美しくて強い!エルフ大活躍でうれしかったです。

前作よりもどきどき感が増していた感じがします。前回は「え、ここでおわり!?」という感じでしたが、今回は、「おお、次がたのしみ」となりました。
単発のシリーズものならいいのですが、こういう大作三部作って、どうしても一部、二部が半端な終わり方になってじらされるのがなんともじれったくて。
場面の切り替えなどがうまくあまり長さを今回は感じませんでした。とはいえ、暗い話が続くし、オークは恐いというか気持ち悪いしで、マーティンがホビットじゃなかったら触手伸びなかった類の映画だったかもしれません(わたしにとっては、の話です、あくまで)。
ギャグがあったり無駄なシーンも多くて二部にまとめられたのでは?なんていう声もネットを探っていて見つけましたが、逆にわたしはライトなシーンがないと観られなかったかもしれない。
次回のスマウグの活躍もたのしみですね。その前にDVD出たら復習しなくては。

それではまた。次回からもっとマメに更新出来るように頑張ります。

『危険なプロット』を観る

フランソワ・オゾン監督の最新作を観てきました!
いやー…このタイトルで「危険」であることがバレてしまうわけですが、レビューはネタばれのないようにしていきたいと思います。

一言でいうと面白かった!ストーリーは割とゆっくりと進んでいくので、前回観た『悪の法則』のような、「おい何が起こってるんだ」ということはありません。
はじまりからたのしめそうなフォトモンタージュ的なオープニング。そこには、Dans la maisonというタイトルが。
「家で」とか「家の中で」とかそういう意味で、要は室内劇のような感じなのです。
登場する人物は限られていますし、ごく狭い世界でのちょっとしたスリルを味わうことができます。
主人公のクロード(エルンスト・ウンハウワー)は、とある高校に通っている数学の得意な男の子。彼は作文の授業で才能を発揮し、ジェルマン(ファブリス・ルキーニ)という国語(文学といったほうがいいのかもしれません)の教師から教えを受けることになります。
クロードが描く世界は、中産階級である友人ラファエルの家の中。ラファエルの両親や彼のことを事細かに描写するのですが、そこにはフィクションもあれば、事実であることも。彼の綴る文章の魅力にとりつかれてしまったジェルマンは次第に夢中になっていき……という感じの展開です。

面白かったのは、ストーリーばかりではなく、映像的にもたのしめました。
突然第三者のようにラファエルの家族の中に、いるはずのないジェルマンが登場し、物語に茶々を入れたり、固定のアングルで撮った視線で家の中が撮られ、独特の世界観を表現したり…サスペンスを思わせるようなカメラワークだったりと、さすがはオゾン監督、そのへんも抜かりありません。

ストーリーとともにたのしめるのは、フランスの高校事情ですかね。
制服を導入することになるとあるフランスの高校。
先生たちの朝食会議があったり、居残り勉強させたり、クラスのみんなの前で作文を読ませたり。
あまり日本の学校と変わらない気もします。生徒のほうの主張が通りがちというところも。

それと、主人公役のエルンスト・ウンハウワー君は実は高校生ではなく21歳だそうですが、それを感じさせないみずみずしさがあります。オゾン監督が好きそうな俳優ですね。それと、名前をメモし忘れたのですが、ラファエルとお父さん役の2人もすごくインパクトがあって好きでした。ラファエル君のタレ目にはひきこまれるものがあります。ファブリス・ルキーニは、『しあわせの雨傘』に続いてオゾン作品には二度目の出演。かわいいおじさんを演じさせたらピカ一だなと思いました。奥さん役のクリスティン・スコット・トーマスもすごく美しかったです。イギリス人なのにフランス語が堪能すぎてうやらましいです…。ラファエルのお母さん役のエマニュエル・セニエは、クロードの文中でたびたび「官能的」といった褒め言葉がついていましたが、あくまでクロード目線だったのかな、と思ったり…(明言は避けます)。


この映画と比較して是非観たら面白いと思うのは、『小説家を見つけたら』(2000年)。
ガス・ヴァン・サント監督作で、ショーン・コネリーが主演という豪華な映画ですが、あまり知られていない、というか、わたしは知らなかったんですが、たまたまBSでやっていて観ました。
こちらは舞台がアメリカで、近所に住む一風変わった小説家に小説を教わることになる高校生の話。
主人公は黒人で、小説を教わるのは先生ではなく、近所の小説家、というのがどことなくアメリカっぽいといいますか。
『危険なプロット』のほうは、学校でかっちり先生に教わるというスタイルが何となくいい学校のフランスが舞台、という感じがしなくもないといいますか。
いえ、優秀なアメリカの学校でもきっと小説を教わることはできるんでしょうけれど。
対にして観ると結構両者の違いがでて面白いです。この映画には、マット・デイモンカメオ出演するのでそれも見逃せませんよ!

それと、文法や言葉の使い方など細かい文章の話がでてくるので、小説を書こうかな、と思っている方にも勉強になるかもしれません。

全然関係のないところで、わたしはイプセンの『人形の家』を思い出しました。家の中、というだけの話だけでもなく、家庭内の葛藤などを描いている近代的な家族の様子に共通点があるなと思って。




ついでのようにオゾン監督のフィルモグラフィー載せておきます。
わたしは『クリミナル・ラヴァーズ』以降は大体観ております。
どれがおすすめ?と言われると、やはり『8人の女たち』ですかねえ、キャストの豪華さから言っても。
とはいえどれも面白いですよ!

サマードレス Une robe d'ete (1997)
海をみる Regarde la mer (1997)
X2000 X2000 (1998)
ホームドラマ Sitcom (1998)
クリミナル・ラヴァーズ Les Amants criminels (1999)
焼け石に水 Gouttes d'eau sur pierres brulantes (2000)
まぼろし Sous le sable (2000)
8人の女たち 8 femmes (2002)
スイミング・プール Swimming Pool (2003)
ふたりの5つの分かれ路 5x2 (2004)
ぼくを葬る Le Temps qui reste (2005)
エンジェル Angel (2007)
Ricky リッキー Ricky (2009)
ムースの隠遁 Le Refuge (2010)
しあわせの雨傘 Potiche (2010)
危険なプロット Dans la maison (2012)




映画は、Bunkamuraル・シネマでアンコール上映していますが、13日までです!
映画館でご覧になりたい方は是非!



『悪の法則』を観る

お久しぶりです。そして久しぶりに混乱した映画を観てきました。

★一部ネタバレがありますのでご注意ください。

とりあえず映画情報をざっと書いておきます。
すごい面子ですよ。俳優陣がひとりでも主役張れるひとたちが5人も出ているんですから。贅沢な映画です。
製作総指揮がずいぶん多いなあ、という印象は受けました。

監督 リドリー・スコット
脚本 コーマック・マッカーシー
製作総指揮 コーマック・マッカーシー 、 マーク・ハッファム 、 マイケル・シェイファー 、 マイケル・コスティガン

カウンセラー マイケル・ファスベンダー
ローラ ペネロペ・クルス
ルキナ キャメロン・ディアス
ライナー ハビエル・バルデム
ウェストリー ブラッド・ピット


始まって数分で、頭には???が飛び交いました。
ファスベンダーが演じるカウンセラーの目的がわからないんです。一体彼はどういう経緯で悪の組織(麻薬組織)と手を結んだのか。その点がわからないまま進むので、観ているほうはなかなか感情移入できない。
登場人物の中で唯一の救いはペネロペ演じるローラなのですが、それもはじまり方が実にエロティックで度肝を抜かれました。
そして、「誰?」という感じのいかにもチンピラという感じのハビエルにブラピ。そして、アイメイクが強烈なキャメロン・ディアス
この3人からはきな臭い匂いがぷんぷん漂っていますが、それぞれの目的がやはりよくわからない。
そして、カウンセラーは誰かが仕組んだであろうある出来事に巻き込まれ、そのせいで麻薬組織から狙われることになるのですが、ここで勇敢に戦ったり…しません。
ただ、彼は為す術なく、逃げて茫然とすることしかできないんです。
その感じが、何度なく南米の感じを思わせるというか…妙なところでキリスト教の思想のことが語られたりするのですが…それがどれくらい彼の行動と関係あるのかもよくわからず。
麻薬組織というのは結局は大きな歯車のひとつというか…説明しがたいんですが、監督の意図は、何か物語を紡ぎだすというよりは、ただ現実をつきつけるだけというか…とにかくひとつひとつの物語がひとつに結びつかない感覚だけが残るんです。
この映画はこういうものだ、というのが言いがたい、まるで現実をありのままに切り取ったような、そんな映画ように感じました。

いろいろと謎もあり、憶測でしかないのですが、ネタバレ記事などを読んで一部は納得。
でもやはりわからないところも多々ありまして…。
すごいな、リドリー・スコット……。個人的にすごく好みの映画なんですが、好き嫌いがわかれそうです。
製作総指揮が多かったのは、ストーリー的に難しいからなんでしょうか。よくできた推理物ではない難しさがあります。
もう一度見直したいと思わせる映画です。

ただ、難しいんですけれど、すごく映像的にスタイリッシュなんです。
ブラピがロンドンを歩くところが本当にかっこいい。
砂漠の風景がやたらと美しいし、とにかくファスベンダーがかっこいい!アルマーニのスーツ(とエンドロールに書いてあった記憶)がやたらと似合う。
高いホテルや部屋がマッチして、ただ酒を飲むだけで様になる。
ブラピとは『イングロリアス・バスターズ』で共演していましたよね。ドイツ人将校の役でとても重要な役でしたが、いまいち知られていないかもしれません。
ファベンダーさんは要チェックです(今後どんどん露出が増える俳優さんな気がしてます!

あの時からずっと目をつけていたんですが、やはりファスベンダーすてきでした。
そして、『モネ・ゲーム』でおちゃめなテキサス出身のロデオガールを演じていたキャメロンが、見事なまでの都会の悪女に変身していて、もうびっくり。
演技力も存在感も抜群でした。
あ、それと重要な場面でコバッチュ先生が出ていましたよ(ER好きの方ならおわかりかと。

普通のサスペンス映画だと思っていると迷宮に入り込んでしまうので、難しいぞ、これは、と構えて観たほうがいいのかも?
よかったら劇場へぜひ!

『タイピスト!』を観る

話題の映画、ようやく観てきました。
軽快でポップなフランス映画の印象そのままでした。
色使いがとてもかわいくて、女性も男性も思わず釘付けになってしまいます。
舞台は1950年代(確か1959年頃)のフランス。田舎からやってきた女の子がタイピングの大会に出場する物語です。
ルイ・エシャール(ロマン・デュリス)という保険会社の社長の秘書になるローズ・パンフィル(デボラ・フランソワ)。
ドジなローズをルイが雇ったのは、彼女のタイピングの速さに目を見張るものがあったから。
ローズはルイの特訓を受け、大会に出場することに。フランス国内も強敵がいますが、なんとかそれをくぐり抜ける頃には、2人の仲も微妙なものに。じ、じれったい!!と思うのですが、これは50年代の話。それを考慮すると先進的な感じはしました。

HPを観るとわかると思うのですが、すごくかわいい!という感じがします。
一応リンクも貼っておきますね。

http://typist.gaga.ne.jp/


ローズのファッションはまるでヘップバーンで、時々見せるフランス的お色気がかわいらしかったです。なぜか時に男性目線が入りこむのですが、それはルイの視線ってことなのでしょうか。ルイは堅物の保険屋で、真面目すぎて大儲けできなくて父親からも軽んじられたりと、不器用な男で、正反対のローズに惹かれてしまうのもわかる気がします。ローズはメモ用紙がないから、ルイの手にメモを書いてしまうような奔放なところがあります。それに秘書としてもまるで駄目。でも髪をきゅっと結んで、タイプを打つ姿はほれぼれするくらいかわいくてかっこいい!当時の女性の地位が向上した背景などを考えると、実に興味深い映画です。それから、音楽も凝っていて、当時の流行りの歌をうまく取り入れていたり、映画の特殊効果のようなもの(アイリスなど)も巧みに組み込まれています。

レジス・ロワンサル監督……聞いたことのない名前だと思ったら、この作品が長編デビュー作なのだとか。
今後も注目ですね。脚本も監督が手がけているそうですよ。

ロマン・デュリスは、『スパニッシュ・アパートメント』のグザビエ役の彼です。個人的に『スパニッシュ〜』は大好きな映画なので、とてもこの配役がうれしかったです。
デボラは、『ある子供』で主演をしていた今をときめく女優さんですね。お色気シーンは微妙にぼかし的なものがされていたような気がしますが、気のせいでしょうか……フランスの女優さんって全裸OKな方多いイメージだったのですが、彼女はベルギー人ですね、はい。ちなみにローズの出身地はバス=ノルマンディーの田舎、らしいです。微妙に訛っていると感じたのですが、彼女のベルギー訛りだったのか、わたしのフランス語能力ではそこまでわかりませんでした。

個人的にはボブ役のショーン・ベンソンが格好よくて、いい役でした。『コールドケース4』にゲスト出演したり、カナダ人の俳優ですが、アメリカで活躍してるんですね。役柄がアメリカ人でフランスに来た、という役だったので、ちょうど彼にぴったりだった気がします。
あとボブの奥さん役のベレニス・ベジョがとてもきれいでした!デボラはときどきカットによっては、あれ、かわいくない?となってしまうときがあるんですが(あくまで個人的感想です)。ベレニスはどれをとってもきれいというか。『アーティスト』の新人女優役の彼女です。この映画は、『アーテスト』『オーケストラ!』の制作陣が作ったものだそうで、なるほどベレニスを起用したのも納得ですね。

ちなみに、個人的にはフランス側の通訳と解説者のジェスチャーがツボでした。フランスバンザイ的な映画ですが、アメリカとの微妙な関係もまた面白かったです。ボブの、アメリカ人はビジネスを、フランス人は恋を、というせりふがすべてを語っていたような。

映画はまだ公開中ですが、朝の回のみですね、有楽町は。興味ある方は公開中に是非!

『タイピスト!』を観る

話題の映画、ようやく観てきました。
軽快でポップなフランス映画の印象そのままでした。
色使いがとてもかわいくて、女性も男性も思わず釘付けになってしまいます。
舞台は1950年代(確か1959年頃)のフランス。田舎からやってきた女の子がタイピングの大会に出場する物語です。
ルイ・エシャール(ロマン・デュリス)という保険会社の社長の秘書になるローズ・パンフィル(デボラ・フランソワ)。
ドジなローズをルイが雇ったのは、彼女のタイピングの速さに目を見張るものがあったから。
ローズはルイの特訓を受け、大会に出場することに。フランス国内も強敵がいますが、なんとかそれをくぐり抜ける頃には、2人の仲も微妙なものに。じ、じれったい!!と思うのですが、これは50年代の話。それを考慮すると先進的な感じはしました。

HPを観るとわかると思うのですが、すごくかわいい!という感じがします。
一応リンクも貼っておきますね。

http://typist.gaga.ne.jp/


ローズのファッションはまるでヘップバーンで、時々見せるフランス的お色気がかわいらしかったです。なぜか時に男性目線が入りこむのですが、それはルイの視線ってことなのでしょうか。ルイは堅物の保険屋で、真面目すぎて大儲けできなくて父親からも軽んじられたりと、不器用な男で、正反対のローズに惹かれてしまうのもわかる気がします。ローズはメモ用紙がないから、ルイの手にメモを書いてしまうような奔放なところがあります。それに秘書としてもまるで駄目。でも髪をきゅっと結んで、タイプを打つ姿はほれぼれするくらいかわいくてかっこいい!当時の女性の地位が向上した背景などを考えると、実に興味深い映画です。それから、音楽も凝っていて、当時の流行りの歌をうまく取り入れていたり、映画の特殊効果のようなもの(アイリスなど)も巧みに組み込まれています。

レジス・ロワンサル監督……聞いたことのない名前だと思ったら、この作品が長編デビュー作なのだとか。
今後も注目ですね。脚本も監督が手がけているそうですよ。

ロマン・デュリスは、『スパニッシュ・アパートメント』のグザビエ役の彼です。個人的に『スパニッシュ〜』は大好きな映画なので、とてもこの配役がうれしかったです。
デボラは、『ある子供』で主演をしていた今をときめく女優さんですね。お色気シーンは微妙にぼかし的なものがされていたような気がしますが、気のせいでしょうか……フランスの女優さんって全裸OKな方多いイメージだったのですが、彼女はベルギー人ですね、はい。ちなみにローズの出身地はバス=ノルマンディーの田舎、らしいです。微妙に訛っていると感じたのですが、彼女のベルギー訛りだったのか、わたしのフランス語能力ではそこまでわかりませんでした。

個人的にはボブ役のショーン・ベンソンが格好よくて、いい役でした。『コールドケース4』にゲスト出演したり、カナダ人の俳優ですが、アメリカで活躍してるんですね。役柄がアメリカ人でフランスに来た、という役だったので、ちょうど彼にぴったりだった気がします。
あとボブの奥さん役のベレニス・ベジョがとてもきれいでした!デボラはときどきカットによっては、あれ、かわいくない?となってしまうときがあるんですが(あくまで個人的感想です)。ベレニスはどれをとってもきれいというか。『アーティスト』の新人女優役の彼女です。この映画は、『アーテスト』『オーケストラ!』の制作陣が作ったものだそうで、なるほどベレニスを起用したのも納得ですね。

ちなみに、個人的にはフランス側の通訳と解説者のジェスチャーがツボでした。フランスバンザイ的な映画ですが、アメリカとの微妙な関係もまた面白かったです。ボブの、アメリカ人はビジネスを、フランス人は恋を、というせりふがすべてを語っていたような。

映画はまだ公開中ですが、朝の回のみですね、有楽町は。興味ある方は公開中に是非!