『レヴェナント:蘇りし者』を観る

GWは映画三昧と思ったんですが、2本しか観られなかった……!
とはいえ、いい映画でした、どちらとも。
まずはこちらから。
そうそう、あのレオ様がついにオスカーを取ったイニャリトゥ監督の作品ですよ。
元々レオナルド好きでしたよ……あのタイタニックのアイドル的な人気にのったわけではなく、本当にいい俳優だと思っていました。いつまでもオスカーを取れないところも愛おしくて。
ついにオスカーを取ってしまったことで、オスカー取れない芸(?)が出来ないのはちょっとさびしいですが、それでも受賞おめでとう、と声を大にして言いたい。レッドカーペットにあたりまして、本物に会うことも出来まして。
本物のレオ様を見た印象……

目がきれい!!
足が長い!!
オーラすごい!!

証拠写真載せておきます。

レヴェナントの升ももらいました。
レオ様オスカー受賞おめでとう、ということでこの後樽をパカン、とやりました。
レオ様が恐かった(どれくらいの強さでやっていいのかわからず、お酒が飛び出そうで、とのことだったかと)、と言っていたのが印象的。


近づいて来てくれたレオ様です。近い近い。

以上です。いや、もっといろいろあったんですが……ファンサービスがすごい。ちゃんとサインをみんなにして回っていて、やさしいなあー、と。
いいひとであることは伝わりました。そしてファンたくさんいて、わたしもうれしかったです。手が届きそうなくらい近かったです。どきどきしました。

で、肝心の映画なんですが。これはオスカー取るしかないですよ。だって鼻水凍らせて、泡はいてるんですもの。それだけではないんですが、鬼気迫る演技というのでしょうか。
みんなのレオがんばれ、みたいな空気を何故か感じました。

物語は19世紀、西部開拓時代のアメリカ。毛皮を売る仕事をするアメリカ人一行が先住民に追われながら逃げていくのですが、その導き役がレオナルド演じるヒュー・グラス。
先住民との間に生まれた子どもとともに一団にいるのですが、災難に見舞われ、一団と離れた後、同じ一団のトム・ハーディ演じるジョン・フィッツジェラルドを追うこととになります。
あまり言うとネタバレになるのでこの辺でやめておきます。

まず、熊に食われそうになります。ここがすごい。
もう絶対死ぬだろうってほどやられちゃうんです。
それ以外にも、吹雪、川、雪崩、飢餓、とにかくすべての災難がこれでもかっていうくらい襲ってきます。
それに対し、グラスはたくましいんです。もちろんいろんな災難に遭って、つらかったと思うんですが、生肉を食べ、仲間と笑い、冷酷になり……ひととの繋がりを通して、フィッツジェラルドに、そして自然に向かっていくのです。
鼻水凍らせて、っていうのは、そういう苛酷さをあらわしているのですが……ひとへの恨みとか何とかいう前に、自然ってやっぱりおそろしい。
崇高という概念を思い起こさずにはいられませんでした。
この映画で言いたかったことは、ひとがひとを裁くってことじゃないのかもしれません。
何て言うか、グラスの怨念とかそういうことじゃないんですよね。すべてはさだめ、みたいな圧倒的な自然の力を感じるんです。
先住民とアメリカ人の争いを主眼にしたわけではなく、アメリカ人同士の戦いを描きたかったのではなく、背景となっている自然を見ろ、とでも言っているかのような映像の力にやられてしまいます。
適役のトムハもよかったです。まさかの髪型だったんですけれど。いつものようなあわあわした感じのイギリス英語(わかりにくい…)ではなく、アメリカ英語に変えているようで、それもすごいなと。
最近、英語の発音気にしながら観ているですが、みんな発音を変えているんですよね、ニューヨーク訛りとボストン訛りとか使い分けていて……すごいなあ、役者って、とつくづく思います。

総括して、すごくいい映画でした。

ふと、崇高って美の概念としてとらえられていますが、この監督、ビューティフルという、美とはおおよそ遠うような映画を撮っていたのを思い出しました。
『崇高と美の観念の起源』を執筆したことで知られれるエドマンド・バークフランス革命に反対した人間だったことも思い出したりして。
割とアメリカの正義を感じる映画ではありましたが、それでいてあまり政治性は感じられない映画で、それがむしろよかった。

イニャリトゥ監督らしいカメラワークで、画面がちょっと揺れるので酔いやすいひとにはくらくらくるかもしれません。お酒飲みながらとかおすすめしません。
とにかく自然が美しくも残酷。そして、この映画はやはり映画館で観るべきだと思います。自然の大きさを知るには大きなスクリーンが必要です。
音楽が坂本龍一だったんですが、割と控えめでした。
いつも以上に内容がないような感じですが……個人的には、なんとなんと、恩師と同じ映画館で映画を観ておりまして。偶然家族が振り向いたら、4,5後ろの席にいらしたんです。
まさか同じ日の同じ時間に同じ映画館で一緒になるとは。そんなこともあるんですね。観終わってから奇跡に乾杯しました。
そして、『プライベート・ライアン』思い出すよね、最初のところ、という話になりました。熊の前なんですが、リアルだったなあ、と。映画史に残る名場面はここと熊に違いない。

もうひとつの映画、『スポットライト』はまた次に。
ではまた!